モテモテ?店長とスイカの話
大学生のころにアルバイトをしていたお店でのお話です。
アルバイト先のレストラン、その店長は…?
アルバイト先はイトーヨーカドーやイオンのような複合スーパーに入っていたレストラン。
正直ここのフロアのお店入る人いるの?というさびれたフロアにあるレストラン。入ってみると意外とお客さんがいてびっくりしましたが。
従業員は顔立ち綺麗なギャルやギャル男ばかりでしたが、みんな優しくて良い人だった。そして仕事も出来る。
店長はどこかの名店で修業を積んだことが自慢の35~40歳くらいの男性でした。
アルバイトを始めて数か月。いつものように休憩をしていると、店長もやってきた。
すると困ったように私に相談を始めるのです。
「アルバイトの女の子たちが僕を取り合ってやきもち焼いて困っているんだ。」
私は驚いた。あのギャルたちが店長のことを好きだってぇ!?
そんな風には見えなかったけど、店長とは仲良さそうだし。店長も恋するギャルも大変だなぁ…。なんて思って適当に相槌を打っているうちに休憩が終わった。
その後も休憩時間や閉店後の店内で相談に乗っていた。
そんな日々を過ごしていたある時、店長から声を掛けられた。
「仕入れ先の八百屋からお中元をもらってさ。スイカ二つあるから、一ついる?いつも相談に乗ってもらっているし。」
何を隠そう、私の大好物はスイカ。小さいころから好きな食べ物を聞かれたときは「スイカ」と答えていた。店長ありがとうございまーす!
「スイカ重いし駅まで送っていくよ。」と店長が言い出した。
駅までとはいえ、極力プライベートは秘密にしておきたいタイプの私。もちろん全力拒否。しかし、実際に見たスイカはとてもじゃないけど一人では持てない大きさのスイカでした。
大好物のスイカとプライベートを天秤にかけ、スイカの圧勝。
結局駅まで送ってもらうことに。
そして何とか家に持って帰ったスイカ。家で見ると、お店で見るより一回り成長した?というくらい大きいスイカであった。(ありませんか?家具とか、家に入れるとすごく大きいってこと。)
あの時のスイカ、過去一番美味しかった。甘くて甘くて。どこのスイカだったか、今の私なら絶対に品種とか産地とか控えるのにー!若かったからさぁ、そんなこと考えもしなかったよね。
10数年経った今でも時折母親に、「あのときのスイカ美味しかったわよね。」と言われるのである。
そして店長を取り合う恋の行方は。
それからまた少し経ったころ、またまた休憩中に店長に言われたのです。
「僕とお友達になってくれませんか?たまに2人で食事したりしてさ。」
いやいやいや、なんで?嫌でしょ、と思いつつ。
「はぁ…ははは。」としか返せなかった私。笑
アルバイトを辞めることを決意した。もう受け付けなかったのでね、当然の結果よね。
辞めることを決意したものの店長に言い出せずにいた頃、今までほとんど話をしたことがなかった厨房の男の子と休憩が一緒になった。
「もしかして辞める?」と聞かれたので、ことの経緯をお話した。
「やっぱりかぁ~。」
よくわかったなーと思っていたところ、「店長が新たに僕のことを好きな子がいて…。」とその男の子に話していたことがわかった。
どう考えても“その子”って私じゃん!
いっっっかいもそんな雰囲気出したことないですけど!
みなさん薄々わかっていたかも知れませんが、自意識過剰ただのかんちがい野郎だったわけです。
もちろん顔立ち綺麗なギャルが取り合っているわけもなく。
よくもまぁあんなに真剣に恋の相談をしてきたこと。
まとめ
大好きなスイカの季節になると必ず思い出す!
どうしてくれるんだい、ってね。